JSBA YEARBOOK 2023
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エルニーニョ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム(気象庁ホームページより) エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生します。エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、日本を含め世界中の異常な天候の要因となり得ると考えられています。 エルニーニョ現象が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が低下し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が不活発となります。このため日本付近では、夏季は太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が低く、日照時間が少なくなる傾向があります。また、西日本日本海側では降水量が多くなる傾向があります。冬季は西高東低の気圧配置が弱まり、気温が高くなる傾向があります。気温現在までに観測されている変化●日本国内の都市化の影響が比較的小さい15地点で観測された年平均気温は、1898~2019年の間に、100年当たり1.24°Cの割合で上昇している。●1910~2019年の間に、真夏日、猛暑日及び熱帯夜の日数は増加し、冬日の日数は減少した。特に猛暑日の日数は、1990年代半ばを境に大きく増加している。エルニーニョ現象・・・南米ペルー沖の海面水温が平年より高い状態日本への影響 【冷夏】【暖冬】将来の平均気温の上昇と温暖化対策厳しい温暖化対策をすれば将来の平均気温上昇は0.3~1.7℃上昇で済むが、とらなかった場合は2.6~4.8℃まで上昇の可能性が高い。出典:IPCC第5次評価報告書統合報告書より降水現在までに観測されている変化●大雨及び短時間強雨の発生頻度は有意に増加し、雨の降る日数は有意に減少している。●一方、年間又は季節ごとの降水量(合計量)には統計的に有意な長期変化傾向は見られない。ラニーニャ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム(気象庁ホームページより) ラニーニャ現象が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が活発となります。このため日本付近では、夏季は太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなる傾向があります。沖縄・奄美では南から湿った気流の影響を受けやすくなり、降水量が多くなる傾向があります。冬季は西高東低の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向があります。ラニーニャ現象・・・南米ペルー沖の海面水温が平年より低い状態日本への影響・・【暑夏】【寒冬】ラニーニャ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム●北海道内陸部の一部地域を除き、地球温暖化に伴い、降雪・積雪は減少すると予測される(雪ではなく雨になることが増える)。●平均的な降雪量が減少したとしても、ごくまれに降る大雪のリスクが低下するとは限らない(ただし、この予測の確信度は低い)出典:文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2020」降雪現在までに観測されている変化●年最深積雪(一冬で最も多く雪が積もった量)に減少傾向が見られる。●1日の降雪量が20 cm以上となった日の年間日数に減少傾向が見られる。【ラニーニャ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム】エルニーニョ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム気温上昇の予測降水量の予測降雪・積雪の予測21世紀末の年最深積雪(%)現在(灰色、1980~1999年平均)を100%としたときの、 21世紀末(2076~2095年平均)における年最深積雪量。青が2°C上昇シナリオ、赤が4°C上昇シナリオによる予測。ACT NOW!【エルニーニョ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム】084JSBA YEARBOOK 2023エルニーニョ/ラニーニャ現象とは2℃/4℃の上昇シナリオにより、予測される21世紀末の日本の状況

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